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「02年度の中小企業の動向に関する年度報告(中小白書)」がこのほど閣議で了承 され、2003年4月に経済産業省中小企業庁で発表されました。 テーマは、“日本経済の再生と中小企業の役割”で、2部構成となっています。 第1部は中小企業の動向を分析、第2部は節目として中小企業の強みを再確認した うえで、今後の中小企業を発展していくためのいくつかの課題を探求しています。 |
| ■ 構成と特色 |
| ◆ 構成 第1部 最近の中小企業を巡る動向 ◎ 厳しい中小企業の経済環境・金融環境を分析 第2部 日本経済の再生と中小企業の役割 ◎ 長期的に見て日本経済を支えてきた中小企業の「強み」の分析 ◎ 創業、退出、再生・再起が容易な経済社会の構築のための課題の分析 ◎ 経営革新の一形態としての新しい中小企業ネットワークの構築のための課題の 分析 ◎ 財務データだけでは測れない企業の質を見る金融の実現方途の分析 ◆特色 ◎ 数々の試練を乗り越え、わが国経済の発展を支えてきた中小企業の「強み」を確認 し、中小企業こそが経済再生の先導役であることを明らかにする。 ◎ 最新時点の創業動向を把握するとともに、倒産経営者に対する大規模かつ広汎な 調査により、倒産の実態、倒産者の再起、事業再建のための条件を具体的に考察。 また、産業集積地区の調査を通じて廃業を希望する者の実態を解明。 ◎ 下請企業がグローバル調達等に対応し、生き残る道を探るとともに中小企業間の 水平連携及び産学連携を成功に導くための多様なあり方を分析。 また、商店街としての魅力向上のための共同活動事業の成功条件を探求。 ◎ 大手銀行が貸出の縮小等を進める中、中小企業金融における地域金融が有して いる役割を再評価するとともに、金融機関の合併・破綻等近時の金融環境の変化が 中小企業に与える影響を明らかにする。 さらに、貸し手の多様化等中小企業の資金調達力の強化の道を探求。 |
| ■ 2003年版中小企業白書の概要 |
| ◇最新の中小企業を巡る動向 1.中小企業を巡る全体的景気動向 ・ 2002年の中小企業の業況は、前半に持ち直しの動きを示したものの、その後、 弱含み、横ばい。輸出に牽引された製造業と内需に力強さを欠く非製造業の格差が 拡大。 ・ 中小製造業の生産は、年初に底を打った後、電気機械、輸送機械に牽引され拡 大したものの、秋以降低迷。また、製造業全規模の水準は前回の景気の谷であっ た98年12月よりもいったん回復しているのに対し、中小製造業ではその水準を下回 っており、大企業と中小企業の格差が拡大。 2.中小企業を取り巻く金融環境 ・ 資金繰りは、大企業が長期的には横ばいであるのに対して、中小企業は長期的 に悪化。 ・ 金融機関の貸出態度DIは、長期的にみると悪化傾向で推移。足下でも2002年に 一時景況判断DIは持ち直したが、その時にも貸出態度は悪化したまま回復が見られ ない。 ・ 企業の5割近くが借入残高を削減する方針。借入申込みを拒絶された企業はその 後の借入方針を慎重にすることがその傾向を助長。金融機関の借入申込み拒絶が さらに借入申込みの減少を招く関係が見られる。 ・ 将来の見通し難等を背景に、足下では、設備投資が手元資金としてのキャッシュ フローの水準に左右される状況が強まっており、設備投資の低迷を招いている。 3.中小企業の倒産動向 ・ 2002年の中小企業の倒産件数は、18,000件台と高水準(歴代6位)。 長期の景気低迷で不況型倒産の割合が上昇し、不況型倒産は歴代1位。 |
| ◇日本経済の再生と中小企業の役割 <中小企業の「強み」とその活躍> ◆ 我が国の工業出荷額は1960年から2000年で20倍に拡大。 高度成長とその後の2度の石油危機、円高等の激変にもかかわらず付加価値額、 従業者数で見た中小製造業の地位は長期的に極めて安定的に推移する等中小 企業の存在は我が国経済発展に寄与。 ◆ 国民所得の向上とともに重要度の増してくる多品種少量、需要変動の激しい分 野では特に中小企業が大企業以上に活躍。 量産ものは大企業、多品種少量ものは中小企業という分業を形成。 ◆ また、中小企業は必ずしも多品種少量分野で一定規模にとどまりつづけるわけで はなく、新商品開発等を通じて成長を実現。 ◆ また、成長する中小企業をみると、経営面では @同族企業から非同族企業への脱皮等による外部人材の活用 A自らの対面する市場にあった水準の技術の洗練化等が重要 ◆ 以上のような「強み」を持つ中小企業は、イノベーションの創出、雇用の創造等 を通じて日本経済再生の担い手となる存在であり、今後ともその活躍が期待。 <創業、退出、再生・再起が容易な経済社会の構築> 1.我が国の開業の最新時点(2001年)での動向とその背景にある問題 ◆ 我が国開業率は2001年総務省「事業所・企業統計」で見ても依然、低迷。 業種別でみると、IT関連といった先進的分野のみならず、介護関連、リサイクル関 連といった生活密着型・地域密着型分野でも開業率が高くなっている。 ◆ 創業希望者率を年齢別に見ると20代、30代で高いが、それ以上では低下。 他方、創業者率は年齢と共に上昇。その結果、創業実現率は若年層ほど低いもの となっており、若年層における希望と現実の間に大きなギャップが見られる。 ◆ 創業希望者の創業に対する障害としては資金面、マーケティング面、技術・専門 知識の問題があるが、若年層で特に問題となるのは資金の問題と技術・専門知識 の不足。 2.我が国の廃業の動向 ◆ 近年、自営業者数は大きく減少。経営者の約3割は自らの代で廃業を考えている が、業績不振の他、承継する人材がいないことも理由の一つ。 ◆ 中小企業の経営者は、企業を「自分と一心同体」と考える傾向にあると言われる が、実際には事業売却・事業譲渡やそれの受け入れを考える経営者が相当数存 在。事業譲渡等の円滑化策は、企業の再生に寄与。 3.倒産と再起の実態(倒産企業経営者1,500人アンケートから) ◆ 倒産に至る企業は一時的な資金難解決のための対策に走る傾向が強く、本来 とられるべき事業収益体質の改善を意図した取組が疎かになりがちである。 ◆ 倒産企業の約32%は事業を継続。事業を継続しやすいのは、倒産前に事業拡 大傾向にあり、売上高が伸びている企業。他方、倒産後の事業が採算にのりやす い(黒字)のは、倒産前に黒字の企業。事業継続条件と採算条件にねじれがある。 ◆ 倒産後の事業は、資金繰りについては親・兄弟や友人、知人以外に頼れない 状況。金融機関等の弾力的対応が今後の政策的な課題。 ◆ 倒産企業経営者の約43%が破産しているがそのうち約14%は再起業を実現。 ◆ 倒産企業経営者の再起業の資金調達は、通常の創業時に比べても、親族・友人 ・知人に依存。この分野での制度的金融の充実が今後の課題。 <財務だけでは測れない企業の質を見る金融> ◆ 中小企業の資金調達は大企業に比べ、借入金に依存する度合いが高い。 ◆ ところが、規模の小さい企業ほど、銀行借入れにおいて申し込み額どおり借りにく く、金利条件が厳しい。 ◆ 中小企業から見た場合、借入資金を円滑に確保するために重要なのは、 @積極的な企業情報の公開 A長期継続的取引などによる財務に現れない企業の情報が銀行に伝わる 関係の醸成。 ◆ また、メインバンクから上手く借入れができなかったときに備えて、取引銀行の多 角化も重要。この場合、特に地方銀行、政府系金融機関が独自の役割。 ◆ また、金利についてもやはり、メインバンクへ自主的に資料を提出し、長期的取引 関係を結ぶ企業が低金利を享受。また、金融知識を有することも重要。 ◆ 2002年1年間で金利引上げの要請を受けた中小企業は少なくない。 @大手行メインバンクの企業で、Aメインバンクへの資料の自主提出が無い企業 が金利引上げの要請を受けている。 ◆ 金利引上げ要請を受けても、1〜2割の企業はその要請を断っている。 ◆ 合併を経験したメインバンクの貸出態度は厳しくなり、そうでないメインバンクより も貸してもらえないことが多い。金融機関の合併等に対する中小企業政策面での 対応が必要。 ◆ メインバンクの破綻は小規模企業に特にマイナスの影響を与える。 ◆ 25万社の財務データを分析してみると、経常赤字や債務超過であっても厳しい 状況の中、経営努力によって、数年後には黒字化を達成したり、債務超過を解消 する企業は多い。金融機関としては財務に現れない企業の能力を見抜く、審査能 力の向上が必要。 ◆ 各行は中小企業向け融資において財務や保全などの外形的基準を重視し、事 業上の強み弱み、成長性等を見ることに消極的。それぞれの視点で中小企業の 財務に現れない部分を見逃さない「目利き」としての能力の強化が、多様な中小 企業に対応した資金供給の円滑化に必要。 ◆ さらに、金融機関の硬直的な貸出態度は、中小企業という将来有望な顧客を失う ことにつながり、金融機関にとっても損失。 ◆ 企業金融に占める銀行などの割合は約8割だが、その他にも保険・年金基金、 ノンバンクなどが利用されている。また、銀行などの貸出しは土地担保が中心で あるが、中小企業はその土地に匹敵する売掛金・受取手形を保有。 ◆ 中小企業庁としても、中小企業の資金調達の多様化に取り組んでおり、平成13 年12月より売掛債権担保融資保証制度を実施している。 また、平成15年2月から、政府系金融機関を活用した売掛債権の「証券化」への 支援を行っており、こうした新しい資金調達手段の活用も重要。 <事業連携による経営革新> ◆ グローバル経済の進展下、「下請」取引といった企業間の垂直連携のメリットは 仕事量の安定から取引のリスクがないこと等へと変化。 ◆ このような環境変化の中、受注側の中小企業は、高付加価値製品開発、製品の コストダウンなどの取組を重視しておりこうした対策から高い効果が得られている。 ◆ 企業間の横の連携ともいえる事業連携活動には多様な目的があるが、共同仕入 や共同研究開発は企業のパフォーマンスを向上。 ◆ 異業種交流に参加した企業は事業連携活動に取り組むことが多く、その意味で 異業種交流は事業連携活動の苗床機能を有する。 ◆ 産学連携は、知識の吸収や新しい技術の確立などの点で効果が大きい。 ◆ 規模別に見ると、規模の小さい企業の方が、産学連携の効果がより出やすいも のの取組は遅れている。こうした現象を解消するため、TLO等のスタッフの強化等 が必要(技術移転等の専門人材の充実等)。 |
| ◇まとめ 再生と「企業家社会」への道 中小企業は多様な存在であるのみならず、ダイナミックに変化する存在。 厳しい状況におかれていても、わずかの期間で急速に業況を回復させることが可能。 しかしながら、すべての中小企業がこうした「再生」を成し遂げているのではなく、イノ ベーションを着実に実施し、地道に収益体質を強化するもののみが生き残り、再生を 達成。このような中小企業が数多く輩出する「企業家社会」が形成されることが日本 経済再生につながるもの。 |
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