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2005年版中小企業白書の概要


  経済産業省・中小企業庁は05年版中小企業白書を発表しました。
  昨年度の中小企業白書は、中小企業の発展可能性にスポットをあてていましたが、今
 年は、さらに厚みを増して、多岐にわたって構成がなされています。
  キーワードは、“経営革新”、特に経営トップの前向きな姿勢が躍進の原動力とし、経営
 を変えるには、経営者の強い意思が必要と提言しています。
  白書の第1部は「中小企業の動向」、第2部は「経済構造変化と中小企業の経営革新
 等」、第3部が「日本社会の活力と中小企業」の3部構成であり、昨年よりもバラエティー
 に富んだ内容となっています。
  中小企業の継続的な経営革新の重要性を改めて、クローズアップしています。

■ 構成
◇第1部では非製造業や小規模企業を中心に弱い動きが見られる中小企業の業況を分析
◇第2部では人口減少等の社会と経済の構造変化の中での中小企業の活力を分析
■ 2005年版中小企業白書の概要
 第1部<中小企業の景気動向>
 [ポイント]
 ○中小企業の景況には、非製造業や小規模企業を中心に、弱い動きが見られる。
 ○輸出主導の回復局面であることを反映して、中小製造業の出荷は輸出向けが強く、国
  内向けは弱い。
 ○中小企業の倒産件数は、
91年以来の低水準。

 第2部
 第1章<経済構造の変化と中小企業の経営革新>
 [ポイント]
 ○我が国の経済・産業構造の活性化に向け、中小企業の役割は大きい。
 ○グローバル化の進展に伴い、多くの中小製造業が海外製品との競合を意識。
 ○人口動態等の違いから、今後我が国以外の東アジア諸国等が成長市場の中心になる
  と見込まれる。
 ○消費構造の変化等により売れ筋商品の短命化が進展。こうした中、業種・業態の転換
  を含め
10年前と主力事業・主力商品の変更を行った企業が約5割に上る。
 ○下請構造の変化等により、新たな中小企業の連携等が進展。
 ○特に、中小企業が各々の「強み」を持ち寄り、不足する経営資源を相互補完する連携
  活動は、平均的な経営革新活動より効果が大きい。
 ○小規模企業でも約
4割が「自社ブランド」を持っており、その価値を高めることが課題。
 ○「自社ブランド」の活用は、中小企業にとって、価格競争の回避、売上増加等の効果を
  もたらしている。

 第2章<多様な資金調達手段のあり方>
 [ポイント]
 ○中小企業の借入依存度が高い一方で、中小企業向けの貸出残高は、伸び悩みを示し
  ている。この中で、政府系中小企業金融機関の貸出残高は一定で推移。
 ○中小企業向け貸出と地価の関係に変化の兆しがある。
 ○定性面を重視するリレーションシップ・バンキングが進展。これに応じて、中小企業から
  金融機関に、信頼性の高い計算書類や代表者の資質、技術力といった情報等を提供す
  ることが肝要。
 ○
CLOは認知されれば、中小企業へさらに普及する可能性あり。

 第3章<地域経済と中小企業>
 [ポイント]
 ○地域経済は活力ある中小企業により支えられている。立地選定に際し、大企業が市場
  との近接性や原材料入手の便を重視するのに比して、中小企業が関連企業との近接
  性を重視する程度は低下しておらず、地域における産業集積は中小企業の活性化に一
  定の貢献。
 ○多くの地域では、製造業事業所数や出荷額が減少傾向にあり、特に、地域内の取引
  を減少させている企業が多い。
 ○地域経済の疲弊を食い止めるためには、個々の企業の再活性化が不可欠であり、地
  域雇用確保の意義も大きい
 ○中小企業再生支援協議会には、金融機関を含めた調整機能が期待されている。
  また、再生手法は多様なものが活用されるようになっている。
 
 以上のポイントから、次の課題を掲げています。
 <課題1>
 マーケットの変化と中小企業の経営革新・グローバル化、内外の人口動態等を背景に海
 外市場の重要性が上昇・下請けの減少、ヒット商品の短寿命化等で販路開拓の重要性
 が上昇・独自性を活かした研究開発、ブランド力強化等の高付加価値化が課題等の、経
 営者のリーダーシップの発揮による経営革新に向けた課題を分析。
 <課題2>
 中小企業の経営革新等を支える金融金融環境の変化の中で進展するリレーションシップ
 バンキングの円滑化に向けた課題を分析。不動産担保に頼らない融資、市場型間接金融
 等の中小企業の資金調達手段の多様化の状況を分析し、併せて、自己資本比率向上の
 方途を探る。
 <課題3>
 中小企業と地域再生のあり方地方で人口減少が本格化する中で、地域再生に向けコン
 パクトなまちづくりが重要な課題。中心市街地と商業集積の活性化の課題について内外
 比較を含め分析。併せて、地域中小企業再生支援協議会の活動状況等を分析。

 第3部
 人口減少等の社会と経済の構造変化の中での中小企業の活力を分析し、次のポイントを
 掲げています。
 <日本社会の変化による諸課題>
 ○高齢者の雇用拡大は、特に、団塊世代の多い製造業では、製造現場の技能承継とい
  う観点からも大きな課題となり得る。
 ○女性の就業継続と、出産・育児との両立が可能となるような職場のあり方や社会の支
  援等を工夫していくことが重要
 <中小企業の果たす役割>
 ○中小企業は、女性や高齢者に雇用の機会を与え、労働力率を高めることに貢献。
 ○中小企業で働く女性の方が、出産後も継続して就業する割合が高く、中小企業は、女
  性の育児・就業の両立に貢献していると言える。
 ○中小企業はフリーターが正社員として就業する際の雇用の受け皿となっている。
 このように、中小企業は、高齢者、女性、若年層の労働力率を高めることに大いに貢献し
 得るものであるが、他方、中小企業には、雇用者の教育のための金銭的余裕がない企業
 が多く、支援が望まれるとしています。
 <創業活動と自営業層の構造的停滞の要因と課題>
 ○給与の高い雇用者にとっては、開業に伴う機会費用が大きいが、女性の社会進出の
  本格化は、開業意欲を高める可能性がある。
 <創業活動等と各種制度>
 ○最低資本金の引き下げや、賃金等根保証制度の見直し等は、開業によるリスクを引き
  下げることが期待される。

 以上のポイントから、次の課題を掲げています
 <課題>
 日本社会の構造変化と中小企業の活力人口減少社会の到来等の社会の変化の中で、
 労働力人口の下支えの観点からの高齢者と女性の活用、若年者の雇用状況の改善等
 が重要課題。少子化対策の観点からは、女性の就業と出産・育児の両立等が重要。
 これら社会的要請に沿う形で、中小企業には
SOHO等の自営業を含め多様な就業機会を
 提供することが期待されることを分析。雇用創出や生産性向上に重要な開業率が低下す
 る背景等について、就業行動との関連で分析し、中小企業が日本社会の活力の源泉とし
 て機能する上での課題を明らかにする。

 【まとめ】日本社会の構造変化と中小企業者の活力
 <構造変化の中での成長力確保>
 ・人口減少等の社会と経済の構造変化の下で今後も成長力を確保していくには、経済再
  生を担う多様な産業群を形成し、イノベーションと需要の好循環を持続していくことが重
  要。
 ・中小企業の経営革新は、先端分野から地域市場まで、新市場開拓と生産性向上に寄
  与し、経済成長に貢献。特に、経営者のリーダーシップの発揮が重要。
 ・経営革新を支える資金供給については、リレーションシップバンキングを実効性あるもの
  とし、不動産担保に頼らない融資をさらに進める等の取り組みが必要。
 <人材活用での中小企業の役割>
 ・今後重要な高齢者、女性、若年者の活用において、中小企業は大きく貢献。
 ・中小企業の人材獲得におけるミスマッチの解消、人材育成への支援、事業承継の円滑
  化等が重要。
 <地域再生と中小企業>
 ・地方で人口減少が本格化する中では、地方社会の基盤となる都市の再生や、独自の
  技術を有する産業集積の再活性化等が重要。
 ・コンパクトなまちづくりはこの観点から重要な課題。中心市街地と商業集積の活性化に
  地域自らも主体的に取り組んでいくことが必要。
 <開業活動と雇用創出の活性化>
 ・マクロ経済の低迷と中堅層のリスク回避志向の高まり等から、自営業者への新規参入
  が大きく減少。産業構造の高度化を実現する雇用創出や、市場の活性化に大きな役割
  を果たす開業活動の活発化が重要な課題。
 ・雇用形態と自営形態の間を含め、社会における人材の流動化が進むよう各種条件整備
  を進め、リスクに挑戦する者が報われる環境を整えることが課題。

  以上の要因から、中小企業の損益分岐点の改善、新製品開発や新市場等の開拓を通
 じて、製品・サービスの付加価値による利益率改善の取り組みが重要と提言しています。
  倒産件数が13年ぶりに14000件を下回っていますが、依然として、中小企業を取り巻く
 経営環境は厳しい声が多い中で、こうした前向きな姿勢・リスクへの挑戦が期待されると
 ころです。

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